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昨年1月4日、大発会の日経平均株価は前年末比741円39銭高の23,506円33銭と幸先のいい年明けとなりました。ドル円も年明け1月2日の112円06銭を下値に4日には112円86銭へ上昇、翌1月5日もNYダウが前年12月29日(24,719.22㌦)から年明け1月5日まで4日続伸する中、5日の日経平均株価も208円高と続伸するなどリスク選好の動きが高まる中でドル円も5日には113円31銭まで円安が進みました。
亥年の2019年、1月3日の早朝にドル円は105円割れへ下落したほか、ユーロ円や豪ドル円、トルコリラ円などクロス円全般に下落するなど円が対主要通貨で全面高となるなど円高パニックと呼ばれる事態となりました。
また、年末31日に発表された中国12月製造業PMIが49.4と2016年2月以来2年10か月ぶりの水準へ低下したほか、昨晩発表の米12月ISM製造業景況指数(54.1)が2016年11月以来2年1ヵ月ぶりの水準へ低下するなど世界経済減速への警戒感を背景にリスク回避の動きが強まるなど2018年年明けとは対象的な展開となりました。新年最初の取引となった4日の日経平均株価は午前10時前に773円安の19,241円まで下落、昨年12月25日の終値での年初来安値(19,155円)や12月26日のザラ場安値(18,948円)を割込むのか懸念される状況となっています。また、NYダウも昨年末終値(23,327.46)から年明け2営業日で641㌦安と冴えない値動きを続け、昨年10月3日の史上最高値(26,951.81㌦)から3ヵ月で4,265㌦の大幅下落となり下落率も15.8%に達しています。
1月2日の取引終了後にアップルが発表した10-12月期売上高見通しを下方修正したことがドル下落の引き金になりました。そもそも米企業の海外売上高比率は40%近い水準に達しており、中でもかなりの売上高を中国に依存している状況にあることから、アップルの売上高下方修正は他の米製造業の売上高のみならず、企業業績に大きく影響を及ぼすとの懸念につながったほか、アップルへ部品を供給する企業にも影響は免れないとして、NY株式市場の大幅下落につながったと見られています。昨晩のアップルの株価は142.19㌦(9.96%安)と-15.73㌦で取引を終え、10月3日の232.07㌦から3ヵ月で38.7%の大幅な下落率となりました。
昨晩発表された米12月ISM製造業景況指数も前月から大幅に低下するなど足許の米経済指標の低下やNY株式市場の下落基調は、アップルの売上高の下方修正も含め、米中貿易問題を早期に解決すべきであると市場が催促しているような事態にまで切迫しています。
株の下落基調に歯止めがかからない中で、2019年暫定予算案を巡る民主・共和両党の対立は議会下院で先ほど可決、トランプ大統領の署名待ちとなりますが、株式市場からの催促に折れた格好かもしれません。リスク資産とされる株式市場から安全資産とされる債券市場へ資金が流入、米長期金利の低下も続き10年債利回りも2.55%台へ低下、住宅ローンや企業の借入コストの低下も株式市場にとってプラスに寄与する状況が鮮明になれば下落にも歯止めがかかるかもしれません。
こうした中で、米中通商交渉を巡る次官級協議が来週7日、8日に開催されます。何より、トランプ大統領は就任以来、NY株式市場の上昇が支持率の低下に歯止めを掛けてきただけに、トランプ大統領も市場との対話を心掛けることができれば事態は大きく変わると思われます。問題の出所が明確なだけに対処一つで事態は好転する可能性があるかもしれません。
過度な悲観はそろそろ終焉を迎えることができるのか、少なくとも再来週に議会採決を控える英EU離脱協定案を巡るリスクイベントも控えるだけに、一つ一つ目の前にある事態を冷静に捉える視点も大事なのかもしれません。
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